1/31 オラニエンブルグ | 旅することで自己を知る

1/31 オラニエンブルグ

 先生と別れ、まずはオラニエンブルグの強制収容所の遺構に行った。収容所に着く頃には天気も悪くなり、空は灰色を帯びた白色をしていた。地平ももちろん白。雪がしんしんと降り積もる中、あたりは本当に静かだった。音があるとすれば、雪を踏みしめる音だけだった。視覚的には無彩色の世界だった。色がないことはこんなに怖いことなのかと思った。文字通り彩りがなく、感覚すらなくなっていくようだ。
 環境が人に与える影響というのを読んだことがある。それには、寒さは人を孤独にさせ、変化のなさは人を発狂させるとあった。わかるような気がした。数時間いただけでも気がめいるのだ。ましてや毎日ここにいるのだとしたらどうだろうか。恐ろしさから身震いした。
 そんなあたりの風景とは対照的に、遺構の中央には平和を願う塔が高く、高く聳えていた。